私が大好きなキャンプメーカーに「スノーピーク」があります。先日 近くのスーパーだと1,000円で済む水筒を、「スノーピーク」で8,000円で購入した位です。そんな「スノーピーク」と言えば、高単価ビジネスの代表格です。しかし 考えてみると、「スノーピーク」商品の機能が画期的かと問われると そうでもありません。では 「何故 スノーピークで買うのか?」それは、「スノーピーク」という企業の考え方が大好きということに行きつきます。そんな事を考えている今年の正月に出会った"本"が、「プロセスエコノミー!~あなたの物語が価値になる~」です。かなり興味深く 仕事にも直結する内容でしたので、自分の"学び"の為に自分なりに纏めてみます。
先ずは…
【著者について】
●「尾原 和啓 (おばら かずひろ)」
*1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援の後、Googleや楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。
ここで…
【「アウトプットエコノミー」とは?】
〇この"本"のタイトルとなる「プロセスエコノミー」を説明する前に、反対の"言葉"として扱われる「アウトプットエコノミー」について説明します。
「アウトプットエコノミー」とは…
●「プロセスで課金せずに、アウトプットで課金する」というモデルのことです。
*これは、普通の人が考える一般的な商売の仕方です。音楽、映画、料理など、アウトプットの形は様々ですが、いずれにせよ「出来上がったモノを売る」という点では同じです。お客さまから直接 課金するケースもあれば、テレビのように広告モデルにするケースもありますが、アウトプットで稼いでいるという点に変わりはありません。こうした「アウトプットエコノミー」に於いては、製品の品質や流通価格、マーケティングなどが重要になります。しかし 競争が進んだ結果、現在では品質に 殆ど 差がなくなってしまっています。この結果として、マーケティングや流通、ブランディングに お金を掛けられる企業の方が強くなります。その為、勝ち企業のプロダクトはより勝っていき、そうでないプロダクトは 例え 良いモノでも衰退する、という格差が広がっています。
それでは…
【「プロセスエコノミー」とは?】
〇それでは、この"本"のタイトルである「プロセスエコノミー」について紹介します。
「プロセスエコノミー」とは…
●「アウトプットで課金せずに、プロセスで課金する」というモデルのことです。
*情報化によってあらゆる『プロダクト』が激しい競争に晒される中で、重要になってきているのが「プロセスエコノミー」です。「アウトプットエコノミー」が 一定の規模まで到達すれば、差別化するポイントは「プロセス」しかありません。例えば 実は 洋服のプロに聞くと、「ユニクロの3,990円のジーンズと、リーバイスの1万円を超えるジーンズに品質に差はない」という"言葉"も出てきているそうです。だからこそ 洋服を作る「プロセス」、そして その「プロセス」に於ける『物語』が注目されるようになっているのです。
「プロセス」に価値が置かれるようになると、「プロセス」は差別化要因であることを超え、「プロセス」そのものが価値を持つようになります。その結果、単に「プロセス」を垂れ流ししているだけでも、課金されるような状況も既に起こっています。その代表例として、漫画があります。実は、今の漫画業界では、漫画 そのものとしての売上とは別に、漫画を書く過程を「ライブ配信」し、そこに 課金して貰うというモデルも出てきています。
次に…
【今「プロセスエコノミー」が注目される時代背景!】
〇現在は、誰もが情報に繋がり、サービスを作れる「メイカーズ(創作者)」の時代と言われています。自分の思いついたものと同じアイデアを持っている人は、世界中に何百人もいるのです。また、新型アイフォンの性能が発表前にリークされるように、情報を隠しておくこと そのものが困難になってきています。もはや「新しい情報を自分だけが見つけた」と過信すること自体があり得ないのです。情報 そのものには、価値がなくなっているということです。
それならば、寧ろ 手持ちの情報をシェアして仲間を作り、プロセスを惜しみなく 開示した方が、良いという事になります。そうすれば 結果的に、更なる 情報が集まってきて、誰にとっても得になります。しかも インターネットの世界では、最初に それを言い出した人が誰なのか、多くの場合は明確に追うことが 出来るのが特徴です。「最初に旗を立てた人」になれば、自ずと多くの"情報"と"人間"が集まり、情報の掛け算が起きます。逆説的ですが 最初に情報を開示し、旗を立てた人こそが、最も効果的な情報を手に入れることになるのです。
最後に…
【「プロセスエコノミー」のメリットとは?】
「プロセスエコノミー」には、大きく分けて"3つ"のメリットがあります。
◆1.「アウトプットを出す前から お金が入る可能性がある!」
*例えば 制作に1年かかる作品をクリエーターが出す場合、制作している間の1年間は無報酬ということになります。もし「プロセス」の部分に課金できるような仕組みがあれば、1年かかるような大きなチャレンジでも、生活を多少安定させることが出来ます。それに 応援してくれる人が多ければ、沢山のお金を集めて、もっと 大きなチャレンジに挑戦することも出来るようになります。
◆2.「寂しさの解消!」
*クリエイターは、一人で作品に向かい合わなくてはならない局面も多くあります。「プロセス」を発信したりライブ配信をしたりして、少しでも 見て貰ったりコメントをして貰えれば、孤独感が和らぎ、作品制作に集中し易くなります。
◆3.「長期的なファンを増やせるかも知れない!」
*最終的なアウトプットが、大体 同じ位だとするなら、より感情移入できる方が勝つのは当然です。応援して貰う為の回路が出来ていれば、作品を出した時にも、シェアしてくれたり 買ってくれたりする可能性も高まります。更「プロセス」を見てくれている人たちは、アウトプットされたコンテンツを一瞬で消費して忘れたりせず、長期的に応援してくれる可能性が高まります。重要なのは、「共犯関係」を作ることなのです。
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◎と言うことで、「著書 プロセスエコノミー」について、纏めましたが…
面白かったのは、書かれていることが、私が 普段 勤める「コンカン」の言語化事業そのものだということです。
この"本"のまとめとして…
●「プロセスエコノミーを実践する上で最も大切なのは、自分の中にある『Why』を、さらけ出すこと」と書かれています。
*これからは、「何故 やるのか?」という「Why」(哲学・こだわり)の部分が、「プロセスエコノミー」には求められます。「What」や「How」は、一定のモノサシで測れるものであり、簡単に優劣が決まってしまいますが、「Why」は その人の「生き方」に拠るものです。プロセスを公開し、「何故 それをやるのか」という哲学をファンと共有するべきなのです。
では、「どこからその「Why」(哲学・こだわり)を言語化するのか?」
それは、「徹底的な自己分析」以外にあり得ないと思います。ビジネス以前に、そもそも「私は、どんな人間になりたいのか?」「何をしたいのか?」「私にとっての幸せとは何か?」「なぜ ここにいるのか?」など、自分と徹底的に向き合う必要があるのだと思います。
最後に…
この"本"の内容を、私なりに一言で表現するとしたら…
●「自分の『生き方』自体が、ビジネスモデルとなり得る時代が来た!」ということです。長くなりましたが、以上です。
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