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株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第72回:前田工繊 株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。インフラ分野で広い品揃えと高い技術力を誇る企業です。

第72回は、土木資材に用いられる「繊維」を強みにして、多くの企業を巻き込みながら急成長している「前田工繊 株式会社」です。





【企業概要】

「前田工繊」は、福井県に本社を構え、インフラ分野で「繊維」を中心としながらも、鉄や木材など製品の幅を広げ、様々な産業資材の製造販売を手掛けている企業です。例えば、道路が崩壊した場合に仮設道路を構築するための耐候性大型土のう、リサイクル繊維を使用した袋材、落石災害防止に使われる高伸度・高強度のポリエステル繊維による立体構造のネット、リサイクル樹脂を使用したベンチなど、多くのインフラ製品を開発しています。地方にありながらも、売上「約432億3,600万円(2021年)」、従業員「約1,400名」と成長している企業です。

そんな「前田工繊」の特徴は、M&Aを行い、既存事業とミックスさせることで事業規模を拡大している点です。「前田工繊」の製品は地面の下に埋まっているものが多く、直接 人の目に触れることはありませんが、インフラを支える為には欠かせないものが多く存在します。インフラ関連の製品や資材を扱う会社は多くありますが、「前田工繊」ほど多種多様な製品を扱っている企業は、あまり 存在しません。


企業の歴史を見てみると、「前田工繊」は先述した通り織物の産地として栄えていた福井県にて、繊維加工業としてスタートしました。1970年代になると、高度経済成長期ということもあり、新しい道路・鉄道など多くの構造物が全国的に作られる中で、「繊維」の技術を活かした「ジオシンセティクス技術(土木分野向け繊維技術)」で土木事業に参入しました。その後 土木事業で売上を拡大し、2002年には70億円の売上に到達しました。この頃になると「前田工繊」は、率先して新しい事業を模索し始めました。

「前田工繊」がM&Aに積極的になったきっかけは、兵庫県の太田工業株式会社から「事業承継が難しい」と相談を受けて子会社化したことです。福井県から離れた土地の企業ではあったものの、太田工業株式会社の港湾・河川汚濁拡散防止用フェンスが「前田工繊」の販路でよく売れたのです。以降 2012年までに滋賀県の「日本不織布株式会社」、北海道の「株式会社サングリーン」、福岡県のセ「マグネ株式会社」など 10社弱のM&Aを行い、「土木資材のデパート」と呼ばれるようになりました。M&Aの成功に伴い、2007年には東証二部へ上場し、2012年には東証一部へ格上げを行いました。


2010年以降は国際化にも尽力しています。例えば 2011年には、ベトナムで景観資材やフェンスの生産を開始しました。同時に、東南アジアインフラ市場に向けての販売網の構築を行い、災害用途や民間用途に販売を開始しました。あくまで 一つのインフラ会社として、まだまだ経済発展の途上とも言える海外で、「前田工繊」ができることを事業として行っています。


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それでは ここで、M&Aを行いながら様々な製品を開発している「前田工繊 株式会社」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【基本理念】

●「人と人との良いつながりがすべての基本であり目標です。」


【経営理念】

●「私たちは、独自の知恵と技術で持続可能な地球、そして安心・安全で豊かな社会を創るために貢献してまいります。」


【行動理念】

前田工繊は「義」「勇」「信」「智」「礼」を日々の業務の中で実践してきました。

原点である“繊維”の力で、安心・安全で美しい国土づくりを支えてきた私たちは

独自の知恵と技術を駆使して、社会の発展に寄与する新たな価値を創造し続けています。

●「義」人も企業も「真っ直ぐ」生きよう。

●「信」失敗を恐れず、無限 [∞] の可能性に挑戦しよう。

●「勇」現場へ出て、本質を見抜き、本気で変えよう。

●「智」どこにもないモノを、どこにもない方法で、創り出そう。

●「知」人も企業も学び続けよう。


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【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「前田工繊 株式会社」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。

先ず、結論からいうと…

◆1.「独自のポリシーを持ったM&A戦略」

◆2.「『真・善・美』の整った会社(組織)」

◆3.「全工程・ステークスホルダーをカバーするセールスエンジニアの存在!」

の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。

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◆1.「独自のポリシーを持ったM&A戦略」

*「前田工繊」と言えば、M&Aが有名です。先ず 一般的な日本に於けるM&Aの状況を見てみると、直近5年間で中小企業のM&Aが活性化しており、特に地域中堅企業において活発になっています。背景には事業承継があり、買収先の大きな傾向として従業員20名以下の「小規模企業」が約7割、「同業種」が約8割、「競合他社」が約4割、「同一都道府県」が約4割となっています。このような中、事業承継ではなく「事業成長」を目的にM&Aを実行しているのが「前田工繊」です。「前田工繊」が取り組むM&Aは、一般の印象とは違います。何故なら「前田工繊」には、M&Aに取り組む上での誇れるポリシーがあり、それは「買収対象は、地方のモノづくり企業に限る」という点です。これは、「前田工繊」がこれまで培ってきた技術や関係に捉われず、異分野が持つ 様々な技術やノウハウを「混ぜる」ことで、新製品や新技術を創出することを目指しています。


*例えば、降水による斜面の浸食が全国的に問題になっている中では、滋賀県の不織布と北海道の緑化の技術をかけ合わせて、斜面の浸食を防止するシートを開発しました。また 最近では、コロナ対策製品として、滋賀県の不織布技術と岩手県の自衛隊装備品などの縫製技術を混ぜて、医療用アイソレーションガウンを開発し、各種メディアにも取り上げられました。更に「前田工繊」のM&Aの特徴は、買収後は雇用を守り、地方企業が抱える悩みを、前田工繊グループが持つノウハウを結集して、一緒に解決している点です。この結果 これまで買収した全ての地方企業が成長し、地域活性化にも貢献しているのです。2010年以降は事業の多角化をさらに拡大して、自動車用鍛造ホイールや農業、防衛事業など土木関連とは異なる新しい分野でもM&Aを進めています。

ーーー ◆2.「『真・善・美』の整った会社(組織)」 *「前田工繊」のグループ全社で共有していることは、「真・善・美」の整った会社創りです。「真」とは、会社の現在の姿を数字から知り、会社の状態がいいのか悪いのか全社員が理解することです。例えば、月次の業績を全社員が把握できるようにし、投資家向けの決算説明会を社員向けにも行っています。また「善」とは、「道徳」のことで"不平不満"のない職場を目指すことです。社員の多能化や配置転換を積極的に行うことで、社内の空気を入れ替え、オープンな雰囲気作りを心がけています。そして「美」とは「、清潔」を指し、工場・職場を徹底的に綺麗にすることです。例えば、子会社の「BBSジャパン」では、買収当時は、町の鉄工所のような雰囲気でしたが、30億円をかけて工場を整備しました。更に「前田工繊」の工場から社員を派遣し、工場管理を指導しました。工場を清潔に保つことで、従業員の士気も高まり事業再生に大きく寄与しているのです。

このように、一見どこにでもありそうな施策ですが、「前田工繊」では日々 当たり前のようにグループ内の技術連携、人材の交流、販路拡大へ向けた協力があり「混ぜる経営」への全社的な理解が浸透しています。 ーーー ◆3.「全工程・ステークスホルダーをカバーするセールスエンジニアの存在!」 *「前田工繊」の特徴は、販売活動にもあります。多くの競合では、「提案段階」「提案採用後から施工まで」「施工後」の3段階で、それぞれに異なる担当者を配置し、代理店に任せています。しかし「前田工繊」では、セールスエンジニアと呼ばれる担当者が、提案から施工指導、アフターサービスまで一貫して担当しています。このセールスエンジニアは、各県をカバーしており、しかも ほぼ異動が無い為、長年に渡る地域の工事の実績を把握しています。全行程、全ステークホルダーを把握し、更にエンジニアとして製品と工法に精通し、自ら構造計算まで手掛けられる技術的幅と深さを持っています。技術は去ることながら、その地域に密着して地域の物件の歴史を把握しているのは「前田工繊」の特徴と言えます。 *上記のように、幅広く深い製品と工法への知識を持ち、きめ細やかな提案ができるセールスエンジニアを育成するため、前田工繊では全社員1年目から道路・河川・港湾など、多岐ににわたる施工現場を任せ、その後も多くの施工現場を担当させることで、現場にあった製品や工法の提案をする能力を育成しています。また 社内コンペや成功したソリューション提案事例の勉強会なども行っています。しかも 素材や製品に関する知識強化のため、営業担当者に土木技術関係の学会誌への掲載を目標に、「論文」の執筆まで促しています。このインフラに関わる職人として妥協のない姿勢が、「前田工繊」の強みとなっています。 ーーー ◎と言うことで… 「前田工繊さん」について調べましたが、注目すべき点はM&Aの有効活用だと思いました。そこにあるのは、自前の技術開発にこだわらないことであり、言い換えると企業としての「謙虚さ」の表れとも言えます。自分たちにできないことをしっかり理解した上で、M&A(大学や他社との提携を含む)などを駆使し解決しています。そして リスクがないところにはイノベーションはないという考えの基で、M&Aに伴うリスクを避けずに、リスク要因をグループの力でいかに解決するかに注力されています。M&Aを使って、ただ売上を上げるのではなく、あくまで問題解決のために有効活用されている点が凄いです。 その為、買収先企業に「前田工繊」のやり方を無理に押し付けないそうです。経営理念共有、基礎的情報の共有、役員の派遣以上の共通化を無理して行わないからこそ、買収先企業の良さを引き出しているのです。 私が学んだことは、できないことを無理して自力で行わず、寧ろ 他社に頼るという"割り切り力"です。特にベンチャー企業だと他社に頼る場合は多くのお金がかかる為、気が進まないことが殆どだと思います。しかし 長期的に見ると、他社の力を借りて、より良いものを創った方が、当然 社会へのインパクトが大きくなるのです。一番 避けるべきことは、自社の私利私欲の為だけに、外部の力を借りることだと思います。 ーーー ◯それでは 最後に、C.I.について、若者なりに一言いわせて頂くと… *C.I.の中に力強くて、硬い言葉が多く使われていて、まさに「前田工繊さん」が真面目な企業であることが伝わります。日本のインフラを担う企業としてのプライドを感じます。しかし 敢えて一言いわせて頂くとしたら、もう少し柔らかい言葉で表現し、個性を出した方が良い気がしました。分かりやすく言うと、このC.I.を同業種の他企業にも転用できると思いました。そうならない為にも、社長自身がこの事業を通して創り上げたい世界観を言語化することが必要だと思いました。現在 多くの企業をM&Aを行い、多種多様な製品を開発されていますが、それは様々なアプローチから創り上げたい大きな世界観があるからだと思います。その世界観を言語化することで、より「前田工繊さん」らしいC.I.になると思いました。すると 一般消費者から共感が生まれ、ましてや採用強化にもつながると思います。 ここで私なりに、「企業理念」(企業が目指す不変的な想い)を考えてみます。 ●「『黒子』の様に見えない所から『当たり前の明日』を作り続ける、インフラの万能企業であり続ける。」 本当に、若者が生意気なことばかり言って、申し訳ございません。 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci 長くなりましたが、以上です。

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