仕事で新規事業や商品企画に携っている人だと、一度は 「その市場はレッドオーシャンだから、新規事業を立ち上げても失敗するかも」「既存の市場でビジネスをしていても売上が伸びないから、これからはブルーオーシャンを狙わないと」といった言葉を使ったことがあると思います。しかし 深く理解しているかと問われると、"はい"と言える人は多くはないと思います。そこで今回は、あらゆる戦略の根幹となる「ブルーオーシャン戦略」について調べてみます。
そもそも…
①【何故、調べよう思ったのか?】
●「新規事業を行う上で、『ブルーオーシャン』であることは、その事業への最も大きな影響力を及ぼすと思っているからです!」
~著『ブルー・オーシャン戦略』から考える!~
この「ブルーオーシャン」という言葉は、2005年に著『ブルー・オーシャン戦略』という本の中で出てきた言葉です。現代において「ブルーオーシャン(未開拓な市場)」や「レッドオーシャン(既存の市場空間)」という言葉は、市場を分析する会話や、ビジネスの現場に於いて、日常的に使われる言葉となりました。しかし 言葉が日常的に使われる一方、「ブルーオーシャン戦略」をきちんと理解して、その考え方をビジネスに活用することは、意外に難しいと思います。「ブルーオーシャンを開拓すると良いのは分かるが、じゃあ実際どう考えたらいいの?」という疑問に、きちんと答えることは難しいはずです。そこで 今回は実際に、著『ブルー・オーシャン戦略』を読んで、この「ブルーオーシャン戦略」を実行する具体的な方法について、取り上げます。
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では…
②【今記事の、内容(要点)!】
■1.先ず「ブルーオーシャン戦略」とは?
●「ブルーオーシャンとレッドオーシャンの違いから考える!」
〜私たちの身の回りのサービスの殆どが、「ブルーオーシャン戦略」を使っている!~
先ず、それぞれの定義としては、とてもシンプルな概念で、以下の様に表現できます。
◯ブルーオーシャン:未開拓な市場空間
◯レッドオーシャン:既知の市場空間
ビジネスにおける市場空間を「オーシャン(海)」に例え、すでに境界線が引かれてあるような既存の市場空間を「レッドオーシャン」、これまでに開拓されていなかった市場空間を「ブルーオーシャン」と呼びます。一言でいえば、「ブルーオーシャン戦略」とは、さきほど定義した「ブルーオーシャン」をビジネス領域として切り開き、これまでにない新しい需要を生み出すための戦略のことです。ちなみに、ここ数十年の間でも、沢山の「ブルーオーシャン戦略」で成功したサービスが生まれました。
例えば…
◯受験サプリ:受験勉強は予備校の教室で行うものという枠から外れ、予備校に通えない受験生を取り込み新市場を創造
◯JINS PC メガネ:高価格が当たり前だったメガネ業界に、低価格 且つ シンプルな価格設計を導入。更に「メガネは視力の悪い人のためのもの」という市場の常識を大胆に打ち壊した。
◯ライフネット生命 :販売チャネルを絞り込み、ネット生保という新たな市場を切り開いた。
この様に、実は 私たちの周りにあるサービスの殆どが、「ブルーオーシャン戦略」を用いて、成長しています。
■2.「ブルーオーシャン戦略」の具体例を紹介!
●「『シルク・ドゥ・ソレイユ』は、最も上手にブルーオーシャンを開拓した例だ!」
〜サーカスではなく、演劇と化して上手くいった?〜
「ブルーオーシャン戦略」で成功した例として最も象徴的なのが、斜陽産業のサーカス業界において、売上を一気に伸ばした「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。具体的には「シルク・ドゥ・ソレイユ」以前のサーカス業界は、以下の3つの問題が生じていたそうです。
◯1.客を集める花形パフォーマーに人気が集中して、コストが高騰。
◯2.子供向けのエンタメが無数に提供されていることで、観客数の減少。
◯3.動物愛護団体などから、サーカスそのものへの反発。
この様な点を踏まえると、それぞれのサーカス団が競争していても、業界自体の成長が乏しいのが現状です。しかし「シルク・ドゥ・ソレイユ」は、そんな既存のサーカス業界の枠から外れた戦略、つまり「ブルーオーシャン戦略」を実行します。
それが…
◯既存のサーカスでは、出し物同士の間に関係性がなかったところに「ストーリー性」の導入。
◯これまで子供向けで安かったチケットを、演劇と同じ水準 つまり 従来のサーカスの数倍に設定。
です。
具体的には、ストーリー性の導入や、テントなどの設備の刷新などで買い手の価値を高めるとともに、費用のかかるサーカス界のスターに頼らないショーを行うことでコストカットを行いました。この結果、従来の市場で闘う必要がなくなり、今までとは全く異なる価値を提供したことで、高価格・高利益を実現したのです。
■3.「ブルーオーシャン戦略」の実践方法とは?
●「2つのステップから、分析しよう!!」
~この戦略は、決して難しいことでは無いのだ!~
「ブルーオーシャン戦略」は理解できても、「では、どのようにして戦略作っていくか?」がカギになります。著『ブルー・オーシャン戦略』は、以下の2つのステップが紹介されています。
◯Step1.「戦略キャンバス」
*「戦略キャンバス」とは、業界における競争要因を並べ、買い手にとって価値の高さを明らかにすることです。具体的には、グラフの横軸に「顧客への提供価値としての業界の競争要因」、縦軸に「顧客がどの程度の価値レベルを提供しているか点数付け」をします。例えば「シルク・ドゥ・ソレイユ」だと、横軸に「価格」「花形パフォーマー」「館内販売」などの競争要因を並べ、既存のサーカス団と比べて、どの点に投資をし、どのような点で顧客メリットを打ち出しているのかが一目瞭然になります。
◯Step2.「4つの問いから考える」
*「戦略キャンバス」を描くことで、既存の競合がどこに投資をしているかを明らかにできます。ただ「戦略キャンバス」を描いただけでは、次のアクションをどうすればいいかの答えは導き出せません。そこで「ブルーオーシャン戦略」では、「戦略キャンバス」を描いた後に、「自社事業をこれからどう展開していくか?」という問いに答えるための発想を膨らませるツールとして「4つのアクション」を提示しています。具体的には、次の"4つ"の問いから考えてみることです。
Q1:業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何 か?
Q2:業界標準と比べて思いきり減らすべき要素は何か?
Q3:業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か?
Q4:業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か?
つまり 「戦略キャンバス」から競争要因を把握した上で、この4つの質問に答えることで、「ブルーオーシャン」を開拓することに繋がります。
そして「ブルーオーシャン戦略」を応用する際に、勘違いされ易い点が、「ブルーオーシャン戦略には、競合を凌駕する革新的な技術が必要」という考えです。しかし このブルーオーシャン戦略は、あくまで競合との競争を避けるためのものであり、決して 新規領域を創るものではありません。つまり どんなに技術がない企業でも、 「ブルーオーシャン戦略」をうまく活用すれば、競争を避けられるということです。
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◎と言うことで…
③【私なりの考え!】
●「仮説検証を繰り返しながら、精度を高めていこう!」
~今の時代だからこそ、"急がば回れ"で、とにかく行動しよう!~
ここまで著『ブルー・オーシャン戦略』を読んで「ブルーオーシャン戦略」について書きました。ここで、この「ブルーオーシャン戦略」を自分なりに簡単にまとめると、「市場の競争要因を書き出して、その競争要因に点数づけをして、我々は どの競争要因に注力するのか?」を明らかにすることだと思います。
例えば「温泉」を開くとなると、競争要因は「場所・料金・温泉の質・温泉の数・サウナ・ご飯の美味しさ…」などが挙げられます。これらの項目で、競合となる温泉の点数付けを行い、その上で「自社の強みをどこにするのか?」を考えるということです。「戦略キャンバス」などの言葉で言い表すと難しそうに感じますが、実際は単純な業務だと思います。しかし そういった点に、事業の成長を占う大きな要因が潜んでいるのだと思います。
そして 最も大切なことは、一度で答えを求めようとせずに、仮説を立てた上で検証しながら、戦略の精度を高めていくことだと思います。特に、テクノロジーの発展に伴い、経営の不確実性が高まっている昨今、ユーザーの価値観はますます多様化しており、ビジネスにおける課題が複雑化しているのは確かです。だからこそ、PDCAを回し続け、少しずつその精度を高めることこそが、最も近道になるのだと思います。結局は、地道な作業が結果に繋がるのだと思います。逆に最もやってはいけないことは、効率だけを求め、仮説を立てずに"感覚"でやってしまうことです。長くなりましたが、以上です。
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