ここ数年、ビジネスシーンで「パーパス」という"言葉"を聞く機会が増えました。働く 個人にとっては、何となく意味は分かっても、明確に理解している人は少ないと思います。実は、「パーパス経営」をしている企業は 以前から存在していましたが、あまり 数は多くありませんでした。しかし 環境や経済の変動を背景に、今 この時代に改めて「パーパス経営」が広がっています。そこで 今日は、この「パーパス経営」について、調べてみます。
●まずは…
【「パーパス経営」とは?】
結論かいうと…
●「企業の理念として自社の存在意義を明確にして、どのように世の中に貢献していくのか」という、「パーパス」を掲げることです。
*「パーパス」(Purpose)を和訳すると、「目的・意図・意思」です。そこから「存在意義」や「志」などの考え方に広がりました。変動的な世界情勢や不安定な経済などを背景に、社会に対して貢献したいと考える企業が増え、自社の存在意義を明確にする「パーパス」を重視する傾向になったのです。消費者心理としても、社会的に存在価値の高い企業の商品・サービスを利用することで自身も社会に貢献できるため、「パーパス」を重視している企業を支持する消費者が増えています。
●では…
【「パーパス経営」が、"今"注目される理由!】
1番の大きな要因は…
◆「SDGsとサステナビリティ(持続可能性)経営」と言われています。
*以前から「パーパス経営」に取り組む企業は存在していましたが、本格的に多くの企業に「パーパス経営」が広まったのは2010年代以降です。その背景には、2015年の国連サミットでの「SDGs(持続可能な開発目標)」採択が大きな"きっかけ"と言われています。「SDGs」とは、「持続可能性=サステナビリティ」な社会を実現する為の世界目標です。「SDGs」では、2030年までに達成するべき"17"の世界目標が設定されていて、環境・社会・経済の観点での目標が"定義"されています。その中には 個人レベルの取り組みだけでなく、企業が主導して取り組むべき課題も含まれています。また 世界的に取り組む「SDGs」達成に向け、日本政府独自の「SDGsアクションプラン2021」を設定し、具体的な方向性を示しています。
このような背景から企業活動に於いても、環境・社会・経済のサステナビリティを重視して、事業の持続性を向上させる「サステナビリティ経営」が注目されるようになったのです。そして「サステナビリティ経営」を実現するには、自社の社会的な存在意義を明確にして、今後 どのように取り組んでいくかを再度見直す必要があります。そこで、自社の"存在意義"である「パーパス」の見直しが求められるようになりました。
そして 実は、もう一つ 大きな要因があると言われています。
それが…
◆「ミレニアル世代の台頭」です。
*「ミレニアル世代」とは、1980年代~1990年代半ばに生まれた人たちを指し、今後の企業活動や消費行動の"軸"となる世代です。「ミレニアル世代」は、デジタルの台頭と共に成長してきた世代です。その為、情報リテラシーに優れ、インターネットでの情報検索やSNSを利用したコミュニケーションを使いこなします。しかも 幼い頃に「バブル崩壊」を経験していて、少しでも「社会に貢献したい」という強い気持ちをもっているという"特徴"があります。つまり「バブル崩壊」した社会を知りつつも、何の不自由もなく暮らしてきた「ミレニアル世代」にとっては、自分たちの"存在意義"である「パーパス」を確実に理解して事業に取り組んでいる企業は、"共感"を得られるのです。
●次に…
【「パーパス経営」のメリット!】
メリットについては、一概に言えるものではありませんが、一般的に以下の"3つ"が挙げられます。
◆1.「ステークホルダーから支持される!」
*「パーパス」に対して実直に取り組んでいる企業は、信頼できる印象を与えます。その為、消費者や株主など企業のステークホルダーが、「パーパス」に共感して支持してくれるようになります。誰しも、自分が共感する企業を応援したいと思うのは当然のことだからです。「パーパス」に共感し応援してくれるステークホルダーが増えるほどブランディング効果も高まり、成長にも繋がります。
◆2.「従業員の働くモチベーションが高まる!」
*「パーパス」の設定は、自社の従業員の満足度にも役立ちます。「パーパス」が定まっていないと、当然 従業員は「私は 何の為に働いているのだろう」と思ってしまい、モチベーションが低下します。しかし「パーパス」があれば 仕事に於ける、自分の「存在意義」が明確になるため、従業員のモチベーションが向上します。すると 従業員のパフォーマンスも向上し、企業の成長にも繋がります。
◆3.「革新や変化を生み出し易い!」
*企業の「パーパス」があれば、従業員も同じ方向性に足並みを揃えられます。自分たちが何の為に仕事をして 何を実現するのかが明確になるため、それを実現する為に何を生み出すべきか定まります。また 従業員全員が同じ方向に向かえば組織の一体感が生まれ、アイデアを出し合ったり 他の人の意見を受け入れたり出来るようになります。すると 革新や変化を生み出し、企業のさらなる成長が実現できる可能性が高まります。
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◎と言うことで…
「パーパス」という"言葉"が、新しいキーワードになっていて 調べてみましたが、これは "人と企業の存在意義を大事にする経営"という意味であり、特段 新しい訳でもないはずです。似た"言葉"に「三方よし」という"言葉"がありますが、この"言葉"についても調べてみると「商売に於いて売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそ よい商売といえる」という考え方だそうです。近江商人の経営哲学の一つとして、広く知られています。実は 多くの日本企業の経営哲学にも、この考え方は根付いているのです。つまり "今" 叫ばれている「パーパス経営」とは、日本人の生粋な性格そのものであり、昔ながらの日本的経営の良さを取り戻すチャンスかも知れません。
そして 忘れてはならないことは…
◆「これからは、自社の『パーパス』を理解するだけではなく、自分自身の『パーパス』も理解しなければならない時代がきた」ということです。何故なら、企業が"存在意義"を明確にすればする程、その企業に合わない人も明確になるからです。これからは、今まで以上に"企業"と"個人"の「パーパス」が結び繋がる時代が到来したと言うことです。そういう意味では「パーパス」を見い出せない人にとっは、生き辛い世の中とも言えるかも知れません。
●最後に余談ですが、この「パーパス」を調べながら感じたことが、そもそも 私が勤める「コンカン」の事業そのもの言うことです。
「コンカン」では、企業の"存在意義"を「C.I.」そして 一個人の"存在意義"を「H.I.」として、言語化する事業を行っています。改めて、この事業の『価値』を再認識する機会にもなりました。長くなりましたが、以上です。
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